【新唐人2015年10月11日付ニュース】今年のノーベル医学・生理学賞に、中国人の85才の屠呦呦(トゥ ユウユウ)氏が選ばれました。彼女は1970年代から研究グループを率い、マラリアの治療に効果的なアーテミシニン(青蒿素)を発見し、世界で数百万人の命を救いました。
屠ユウユウ氏は晋の時代の道教研究家、葛洪(カッ コウ)の著書『肘後備急方(ちゅうごびきゅうほう)』からインスピレーションを得て、190回の失敗を繰り返しながら、とうとう1971年10月に、ネズミマラリア、サルマラリアのマラリア原虫を100%制圧できる、アーテミシニンの抽出に成功しました。
アーテミシニンの抽出成功後も40年間、屠氏は中国で正当な評価はされていませんでしたが、彼女は気にもせず、研究し続けていました。屠氏は論文の中で、アーテミシニンは中国の伝統医学からの贈り物だとコメントしています。
彼女が研究したアーテミシニンは、すでにWHOにより「必須医薬品」リストに載せられ、世界中で使用されていますが、2011年、米国の医学ノーベル賞ともいわれるラスカー賞を受賞する前までの40年間は、彼女の研究結果は中国本土で認められませんでした。
1949年以降の中国では、ツボと経絡の存在は認められておらず、迷信だと決めつけられていましたが、科学技術の発展につれ、西洋の科学者により、経絡の存在は実証されました。
しかし、医術の高い医者であれ、奥深い伝統医学の理念であれ、正しい評価を得られないのが中国の現状です。
屠呦呦の名前は『詩経・小雅』(しきょう・しょうが)の一節「呦呦鹿鳴、食野之蒿」「ヨウヨウと鹿鳴き、野の蒿(よもぎ)を食む」に由来する。この一文は中華民族にとっては、人材への渇望ともいえます。
中国で博士号や海外留学経験を持たず、学士院会員でもない、「三無(さんむ)学者」と呼ばれていた屠氏は、学士院会員の選出で数回落選したことがあり、そのことから「中国で学士院会員の選出は、学術貢献以外のものが重視されている」と、香港大学の生物化学教授の金冬雁(きん とうかん)は述べています。
大紀元の報道によると、中国科学院の会員の肩書を持ち何祚庥(ホー ツオシウ)氏は、アメリカの三流大学の教授身分ですらもらえません。アメリカの三流大学卒の元国家主席江沢民の息子、江綿恒(こう めんこう)が学術的成果も出していないのに、、中国科学院上海分院の院長まで務めたことから、才能だけでは認められない中国人の学者達の現状を憂慮しています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2015/10/06/a1227964.html(中国語)
(翻訳/小松 ナレーター/萩野 映像編集/李)